感染症対策で注意したい換気と加湿

換気は、介護施設で行われる代表的な感染症対策の1つです。2020年より続くコロナウイルスの流行では、小さい粒子に含まれるウイルスによるエアロゾル感染が疑われたため、換気の注目度はより上がりました。また、コロナウイルスに限らず、各種の感染症は密閉状態の方が感染のリスクが上がるので、換気を行うことは非常に大事です。

しかし、換気にはメリットだけでなくデメリットも存在しており、高齢者の方の健康を逆に損ねる恐れもあるのが厄介なところです。特に、冬場は寒さで体調を崩す可能性が高く、安易に換気を行えばよいというものではありません。

介護施設では、感染症対策という換気によるメリット、体調悪化のリスクという換気によるデメリットを総合的に判断して、臨機応変に対応する必要があります。電気代の負担増が気になるかもしれませんが、エアコンをうまく使いながら換気を行うのが無難です。

加湿器を使うことも大事で、湿度を調整することでインフルエンザの感染を防ぐ効果が期待できます。また、空気の乾燥は鼻や喉が持っているバリア機能の働きを低下させるので、加湿器を積極的に使用するのがよいでしょう。ただし、加湿器を介護施設や家庭で使用する場合、しっかりタンクを掃除することは欠かせません。

加湿器のタンクが清掃されていない場合、レジオネラ菌が繁殖し、レジオネラ肺炎を引き起こす恐れがあります。実際、加湿器を原因とするレジオネラ菌の集団感染は介護施設や医療施設でも起こっているので、扱いには十分に気をつけましょう。